AMR/ASP
抗菌薬適正使用/診断適正使用
微生物に対して抗微生物薬が効果を失うことを薬剤耐性(Antimicrobial Resistance: AMR)と言います。AMRはさまざまな微生物で生じますが、なかでも細菌のAMRが国内外で注目されています。薬剤耐性菌が増加すると抗菌薬による細菌感染症の治療や予防が難しくなってしまいます。現代の医療において抗菌薬の存在は欠かせないものであり、その効果が失われてしまうと、一見感染症とは直接関係ないようにみえる医療にまで大きな影響が及びます。そのためAMR対策が国内外で注目され、2015年には世界保健機関(WHO)によるグローバル・アクションプラン、2016年には日本政府による薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが策定され、広い観点から取り組みが進められています。
医療機関におけるAMR対策の基本は、今手元にある抗菌薬を適切に使用してさらなるAMRの増加を抑止することと、適切な感染予防策を行って発生したAMRの広がりを防ぐことです。前者の抗菌薬適正使用を推進するには、医療現場全体で適切な感染症診療を行うことが重要です。私たちは院内各科からのコンサルテーションを受けて病態に応じた適切な感染症診療を提供するとともに、抗菌薬処方を改善して治療成績を改善しながら悪影響を抑えていく仕組みづくりに取り組んでいます。抗菌薬適正使用を推進する活動は Antimicrobial Stewardship Program (ASP) と呼ばれ、多くの医療機関で取り組みが進められています。私たちはASP活動の実践と研究を通じてAMR対策に貢献しています。
アプリケーション
当分野では抗菌薬と感染症に関する医療従事者用のスマートフォンアプリを開発中で、近日リリース予定です。
抗菌薬適正使用プログラム(ASP)のための教育モジュール
抗菌薬適正使用プログラムについて実践的に行う上での教育の機会が国内では不足をしている現状があります。
そこで、MSD株式会社 (公募型)医学教育事業助成をいただき、抗菌薬適正使用プログラムについて実践的なコンテンツを作成し、公開予定です。
また、同様の取り組みとして、大阪大学感染症教育コンテンツ配信サイトもございますので合わせてご利用ください。